中にドレンチェリーが入ったケーキをナイフで切ると断面が夕暮れみたいに見えた クリームの層はぼやけた地平線でドレンチェリーはもうすぐ沈む夕日
朝焼けと言ってもよかったのかもしれないけど、やっぱりそれは夕暮れというほかないのだった
☆ある日 机の引き出しから身に覚えのないノートが見つかりました。
持ち主の名前はありませんでした。
ページをめくってみると ところどころ自分の記憶と重なるような・・・
ポケットに入っていた古い切符を改札に通したら知らない駅のホームに出た 電車は来ず発車メロディだけが何度も繰り返し流れていた
多分ここでは帰る場所を思い出した人から順番にいなくなるんだろうと思った
パンをこねてひと休みしていたらパンがひとりでに星のかたちに膨らんで、流れ星みたいな尾を引いて宇宙へ飛んでいった
その日は月が見えない代わりに、青と黒がマーブル状になった大きな惑星を肉眼で見られる日だった
いくつか強い光が瞬いているのが見えて、そこがきっと大都市なのだろうとなんとなく思った